借主の想いを起点にマッチングを図る さかさま不動産で35軒目の成約 ~尼崎支局のイベントで地元支援を得た若者がコーヒー店を開業~
株式会社On-Co(本社:三重県桑名市、代表:水谷岳史)が運営する、借主の“想い”を起点にマッチングを図る「さかさま不動産」にて、35軒目の成約が兵庫県尼崎市で実現しました。支局主催のイベントをきっかけにコーヒー店を開業したいという若者の想いが地域に届き、応援者との出会いを通じてマッチングに至った本事例は、「想いが地域の関係性を動かす」ことの象徴的な一例となりました。
空き家数と非流通空き家の増加も、活用はあくまで地域活性の手段へ
総務省によると、全国の空き家率は2023年に13.8%と過去最高を記録※1。流通に乗らない空き家が4割※2を超え、空き家は多いものの、実際に貸し出せる物件は少なく、移住希望者や起業希望者とのマッチングが進まない実態があります。 国交省のガイドラインでも、空き家の活用は地域活動を促進するための手段と明記され、用途や入居者の選定を地域文脈を考慮して行うことが求められています。※3)
※1 総務省「令和5年住宅・土地統計調査(速報集計)」※2 国土交通省「空き家政策の現状と課題及び検討の方向性」※3 国土交通省「空家等活用促進区域の設定に係るガイドライン」(令和5年12月)
逆転の発想で新たな可能性を拓く「さかさま不動産」
さかさま不動産は、「物件」ではなく「人」の“やりたいこと”を起点に空き家を活用する逆発想のマッチングサービスです。借り手の想いや目的に共感した所有者が借主を選ぶため、信頼に基づいた関係構築と地域内での持続可能な事業創出や暮らしを促進しています。
現在、389名の「やりたい想い」が掲載され、これまでに空き家が飲食店、共創スペース、多世代交流拠点などへと再生されています。
借主:DIY屋台で各地を周るコーヒー屋から店舗開業を目指す
成約に至ったのは、DIY屋台や間借り出店でコーヒーを提供する尼崎出身の堀尚哉さん(29歳)。香川県でのコーヒー豆との出会いを機に、地元で浅煎り専門の珈琲店を開く夢を抱き物件を探していました。昨年12月にさかさま不動産尼崎支局の開局イベントに参加し、DIY屋台とコーヒーを持ち込んで、地域関係者の前で「借りたい想い」を発表しました。
▶ さかさま不動産の掲載記事 https://sakasama-fudosan.com/lessee/brain-shaking-hollycoffee/
想いに共鳴した地域の応援者が出現
イベントにて堀さんの想いに共鳴したのが、有限会社藤井不動産の常務である藤井嵩士(たかし)さん。会社として地域のまちづくり団体に関わる中で「信念ある挑戦者を応援したい」と、堀さんに物件案内や仲介支援を申し出ました。限られた資金や知識の中で藤井さんの支援は堀さんにとって心強く、その後、準備を経て、4月25日に店舗をオープンさせました。
物件は、杭瀬中市場の中。古く狭小のため2年ほど空き店舗になっていましたが、市場の人気店にも近く、面でのにぎわい創出に期待が高まっています。
▶HOLLY COFFEE STAND:https://www.instagram.com/stories/holly_coffee_stand/
住所:兵庫県尼崎市杭瀬本町1丁目19-2
定休日:月曜
営業時間:コアタイム7~18時(日によりその後延長あり)/変則営業の日もあり
支局:挑戦者が集まる旗を立て、地域に根付く足掛かりをつくる「さかさま不動産」
開業を考えていた堀さんを杭瀬に招き、定着を全面的にサポートしたのが、2024年12月に開局した尼崎支局。さかさま不動産への掲載フォローからイベント参加支援、藤井不動産との連携に至るまで継続的なサポートを実施しました。
特に注目すべきは、物件所有者や行政関係者、地域住民が集う場で堀さんが自らの想いを語ることで、「顔の見える関係性」を生んだ点です。支局担当の若狭氏は「地域にとって信頼の担保となり、堀さんがスムーズに地域に溶け込むステップになったのでは」と語ります。
実際に店舗改装には尼崎でDIYに携わるプロがサポートし、たくさんの知人・友人・近所の人が手伝ってくれました。また、市場や近隣の商店から店舗備品や材料、お祝いの刺し盛りをいただくこともありました。
地域からの支援を受け、今度は地域に関わる担い手へ
地域の支援を受けて開業した堀さんは、現在、自らの店舗運営を通じて地域へ貢献したいと奮闘中。堀さんのお店には、開店から1か月が経った今でも各地の出店等でつながった方々が来店し、今まで商店街に来た事がなかった新たな人流を生み出しています。また、堀さん自ら来店客を市場へ案内するほか、他店のテイクアウト商品と自店のコーヒーを組み合わせて楽しんでもらう提案を行うなど、周辺店舗との連携にも取り組んでいます。
市場の組合にも参加し、「何かおもしろいものが生まれるきっかけをつくっていきたい」と、商店街や地域へ還元する意欲を語っています。
支局が生み出す関係性のデザイン
さかさま不動産は2022年より全国に支局を展開。空き家を通じ、地域に根ざした関係性づくりを進めています。現在、岐阜県多治見市や愛知県西尾市、高知県香美市など全国23拠点が立ち上がっており、人の想いや関係性を重視することで、地域に眠る空き家が新たな挑戦の場に変わり、移住促進や創業支援、地域活性化にも多面的な効果を生んでいます。
今後の展開
現在、自治体の空き家対策および移住支援をデジタルで効率化する「さかさまAI」の開発を進めています。6月24日・7月9日には自治体向けの説明会を開催予定です。さかさま不動産は今後も支局や自治体との連携を強化し、「余っている家」を「余白ある地域資源」としてとらえ、地域活性化や移住促進、関係人口創出などを通じ地域の未来づくりに挑戦してまいります
さかさま不動産 尼崎支局
運営:杭瀬地域まちなか再生協議会
住所:〒660-0815 兵庫県尼崎市杭瀬北新町1丁目5番11号
電話:090-3943-3129|メール:chiiki.k.k@nifty.ne.jp|担当:若狭
株式会社On-Co
代表:水谷岳史|設立:2019年3月|本社:三重県桑名市西別所1375|拠点:名古屋市西区新道1丁目13-15昭和ビル
HP:https://on-co.jp/ |ミッションは「まだない未来をつくる」。強みは社会に必要と感じた概念を具現化させること。さかさま不動産や上回転研究所、丘漁師組合などを展開している。