「さかさま不動産」39軒目の成約~想いが起点になるまちづくり。体育講師が託児所開設へ~

「空き家」は、人と地域をつなぐ接点へ

政府は今年「ふるさと住民登録制度」など、関係人口を重視した政策を打ち出し、多様な形で地域に関わる流れが広がっています。
こうした中で空き家は、単なる不動産ではなく「人と地域をつなぐ接点」としての価値を持ちます。
さかさま不動産は“借り手の想い”から非流通物件を掘り起こし、創業や移住など地域活性の循環を生み出しています。

借主:体育教員、産後の孤立を機に居場所づくりへ

就職を機に和歌山に移住し、中高一貫校で体育教員をしていた山尾美里さん(32歳)は、第一子出産後に孤立感を抱えた経験から、親子が安心して過ごせる居場所づくりを目指していました。きっかけは、和歌山支局を運営するオフィスミモザが地域の居場所として開放している「もりおかとしょしつ」に参加したこと。月齢が近いママと出会い、心が和らぎ、助け合う関係となりました。
自身が救われた原体験から、”託児所併設カフェ”の構想を考えるようになり、さかさま不動産和歌山支局のサポートを受けて、さかさま不動産に想いを投稿。
非常勤講師として働きながら、構想を形にする準備を進めてきました。

子育てを頑張るママに、ホッとひと息つける心のお守りのような居場所「託児所カフェ」をつくりたい!!

想いを伝え続け、企業所有の非公開物件とマッチング

「もりおかとしょしつ」を間借りして親子交流会の開催や、保育現場にボランティアとして関わるなど、準備を進めていた山尾さん。活動を重ねるうちに、彼女の想いは「もりおかとしょしつ」が入るレジデンスの管理会社へも届きました。2024年10月に開催された「さかさま和歌山支局開局イベント」にて山尾さんの掲載記事やその想いを紹介したところ、管理会社役員も参加しており、同社が温めていた地域カフェ構想とビジョンが重なりました。その後、会社代表に直接プレゼンする機会も設けられ、非公開だった学生寮の遊休ラウンジスペースの提供が決定。地域ぐるみの協働で「託児所くるくる」が誕生しました。

【託児所くるくる】
代表:山尾美里
住所:和歌山市中649-2グリーンプラネットハウス2階北ラウンジ
電話:080-6074-5733
営業時間:平日9:00~16:00
利用対象:生後6ヶ月~6歳までの未就学児
HP:https://kurukuru-takujisyo.com/

地域に開かれたさかさま支局活動

今回のマッチングは、さかさま不動産 和歌山支局の場が奏功したもの。和歌山支局は「小さなお店や取り組み、互助の関係性が生まれることで、心地よい街をつくりたい」という想いのもと、2024年10月に開局。オフィスの一角を開放したり、開業希望者に間借りでスペースを提供するなど、日常的に借主と貸主、地域が自然に関わり合う関係を育んできました。こうした日々の交流が、今回の管理会社と挑戦者のマッチングにつながりました。11月6日には和歌山支局の開局1周年イベント開催。これまでの活動報告や本マッチング事例を地域に共有し、「挑戦を応援し合うまち」への機運を高めます。

▼開局1周年イベントの詳細・申込 https://peatix.com/event/4627231

参考:さかさま不動産とは

空き家を借りたい人の想いを公開し、共感した大家や地域が借り手を選ぶ仕組み。「誰にでも貸したいわけではない」という所有者の心情に寄り添い、潜在物件を掘り起こしてきました。
空き家は本屋や飲食店、ゲストハウスなど、創業や移住、関係人口創出の拠点へと再生。地域に経済と文化の循環をもたらしています。

広がる仕組みと今後の展開

今回の事例は、さかさま不動産が「非公開物件の掘り起こし」にも有効であることを示しました。
現在は、移住や空き家対策を進める自治体の人手不足やノウハウ不足に対応する「さかさまAI」の実証も進行中で、10月中の正式実装を目指しています。今後も全国に広がるさかさま不動産支局や自治体と連携し、持続可能な地域づくりを推進してまいります。

さかさま不動産 和歌山支局

運営:オフィスミモザ合同会社|拠点:〒640-8451 和歌山市中649-3-104|電話:080-3392-1033|メール:support@office-mms.jp|担当:藤原・山本
「ご縁の中で見つけた課題に応じて、私たちの役割を調整し、多様なもの同士一緒に生きている世界を実現する」をミッションに、学術団体・社会起業家のバックオフィス事業を展開。並行して、地域の関係性づくりの企画運営(住人向け図書室運営)などにも取り組んでいる。

株式会社On-Co

代表:水谷岳史|設立:2019年3月|本社:三重県桑名市西別所1375|拠点:名古屋市西区新道1丁目13-15昭和ビル|HP:https://on-co.jp/
ミッションは「まだない未来をつくる」。強みは社会に必要と感じた概念を具現化させること。さかさま不動産や上回転研究所、丘漁師組合などを展開している。