空き家が「あるのに使えない」課題を「想い」で動かすさかさま不動産で34軒目の成約~県境を越えた支局連携でフードアーティストがアトリエ移転~
株式会社On-Co(本社:三重県桑名市、代表:水谷岳史)が運営する「さかさま不動産」は、貸し手が借り手を選ぶ新しい空き家活用モデルを通じて、移住促進や起業支援に寄与しています。この度、全国で34軒目の成約が静岡県で実現しました。今回は初の支局間連携(和歌山支局・沼津支局)により、フードアーティストの「ストーリーのある食体験を提供したい」という想いが静岡県蒲原(かんばら)の物件とマッチングした、地域間連携のモデル事例となりました。
背景:空き家数と非流通空き家の増加も、潜在的な活用意向は7割超
全国の空き家率は2023年に過去最高の13.8%となり、市場に出回らない非流通空き家は4割を超えています(※1、2)。 空き家が多い一方で「貸し出せる空き家」が少なく、移住や地域での開業希望者にとっては障壁となっています。その理由としては、所有者側の「物置としての使用」「貸出への不安」「リフォーム費用負担」などの心理的・経済的ハードルが挙げられています。 また、国交省の調査によると(※3)「売却・賃貸等のために情報を一般公開しても良い」と回答した空き地所有者は15.6%にとどまりますが、「地域活性化目的なら活用を検討したい」等と答えた所有者は7割を超えます。 さかさま不動産には空き家所有者から同様の相談が多く寄せられており、従来型の空き家対策では捉えきれなかった所有者の潜在的な活用意向の受け皿となっています。
※1 総務省「令和5年住宅・土地統計調査(速報集計)」 ※2 国土交通省「空き家政策の現状と課題及び検討の方向性」 ※3 国土交通省「空き地等に関する所有者アンケート調査」
逆転の発想で新たな可能性を拓く「さかさま不動産」
従来の不動産流通では、所有者が「貸す相手や用途を選びたい」と考えても、借り手側の情報を知る機会は乏しく、空き家活用を躊躇する一因になっていました。 「さかさま不動産」は、借り手が「やりたいこと」を先に公開し、共感した貸し手が選ぶ仕組みです。所有者が抱く「情報公開への抵抗感」や「相手を選べない不安」を解消し、空き家活用を促しています。
借主:フードアーティスト小山嶺子さんの挑戦
今回マッチングした、フードアートの提供やメニュー開発を行うフードアーティストの小山嶺子さん(35歳)は、アトリエの退去を機に新たな活動拠点を探していました。過去に賃貸で難しい経験をしたことから物件探しに慎重になっており、ビジネスパートナーの勧めで「さかさま不動産」を知り、相談を決めました。
▶ さかさま不動産の掲載記事 https://sakasama-fudosan.com/lessee/food-for-heart/
当初は元の拠点に近い静岡県沼津市を希望していましたが、紹介された同県蒲原の歴史ある宿場町と地域資源に魅力を感じ、「この場所だからこそ生まれる物語がある」と即決で移転を決意。 新拠点では、地域資源を活かした料理や体験を提供し、観光・経済活性化に寄与することが期待されています。(2025年4月〜改装開始|6月中旬〜フードアート等サービス開始予定)
▶小山嶺子 公式Ig https://www.instagram.com/cinemanma.mineko/ 公式HP https://minekokoyama.com/
初のさかさま不動産支局間連携によるマッチング
今回の事例では、和歌山支局が相談窓口となり、現地サポートを沼津支局が担当。情報共有やさかさま不動産サイトへの掲載などを協力して進め、初の支局間連携による支援がマッチングとして結実しました。 実は当初、小山さんが希望する沼津で物件提案するも条件が合わず、さらにヒアリング。その中で小山さんのビジョンに強く共感した沼津支局は、自ら所有する物件がアーティスト活動に最適だと判断して賃貸を提案しました。沼津支局は地域案内や住民・地域のキーマンとの関係づくりを積極的に支援し、小山さんの円滑な地域定着を支えています。
支局が生み出す関係性のデザイン
さかさま不動産は2022年より全国に支局を展開。空き家を通じ、地域に根ざした関係性づくりを進めています。現在、岐阜県多治見市や愛知県西尾市、高知県香美市など全国23拠点が立ち上がっており、人の想いや関係性を重視することで、地域に眠る空き家が、飲食店や多世代拠点など、新たな挑戦の場に変わり、移住促進や創業支援、地域活性化にも多面的な効果を生んでいます。 本事例は、支局が地域の魅力や人のつながりを伝えることで、借主が想定していなかった新たな地域に、可能性を見出せることを示しています。
今後の展開
現在、自治体の空き家対策および移住支援をデジタルで効率化する「さかさまAI」の開発を進めています。6月24日・7月9日には自治体向けの説明会を開催予定です。さかさま不動産は今後も支局や自治体との連携を強化し、「余っている家」を「余白ある地域資源」としてとらえ、地域活性化や移住促進、関係人口創出などを通じ地域の未来づくりに挑戦してまいります。
さかさま不動産 沼津支局
運営:株式会社貰賃 代表:赤坂憲志 住所:静岡県駿東郡長泉町納米里264-21 電話:055-950-9263 メール:info@morachin.com
株式会社On-Co
代表:水谷岳史 設立:2019年3月 本社:三重県桑名市西別所1375 拠点:名古屋市西区新道1丁目13-15昭和ビル HP:https://on-co.jp/ ミッションは「まだない未来をつくる」。強みは社会に必要と感じた概念を具現化させること。さかさま不動産や上回転研究所、丘漁師組合などを展開している。
本件に関するお問い合わせ 窓口:武田 TEL:080-5984-7800 mail:support@on-co.co