「さかさま不動産」の山口県「長門支局」開局~空き家の掘り起こしから温泉街活性の加速を目指す~
株式会社On-Co(本社:三重県桑名市、以下On-Co)が運営する、物件を借りて挑戦したいことがある人の想いを可視化して貸主を募集するサービス「さかさま不動産」にて、山口県に「長門市支局」が立ち上がりました。地域に密着した方々と連携するさかさま不動産支局の17拠点目の開設となり、同局主催で6月7日(金)に開局イベントが行われました。
貸す気も売る気もない空き家が30年で約2倍へ
深刻化する空き家問題。総務省によると、2023年の空き家率は過去最高となる13.8%(900万戸)で、二次的利用や賃貸・売却予定のない長期不在の住宅は42.7%(385万戸)。2030年には470万戸程に増加すると推計されています (※1※2)
また国土交通省が調査した「利活用に向けた活動状況」によると、将来的にも利用意向はなく「空き家のままにしておく」との回答が約3割。賃貸・売却の意向を持つ所有者は2割超いるものの、そのうちの約4割は「何もしていない」とのデータが出ています。(※3)
※1 総務省 「令和5年住宅・土地統計調査(速報集計)※2 国交省「空き家政策の現状と課題及び検討の方向性」※3 国交省 「社会資本整備審議会 住宅宅地分科会 空き家対策小委員会 とりまとめ 参考データ集」
さかさま不動産の狙い
さかさま不動産は、家の情報ではなく「借り手」の情報を開示してマッチングをするサイトです。
従来の不動産流通の仕組みを逆にすることで、「貸す人や使途は選びたい」「物件情報を公開せず借り手を探したい」と考える非流通空き家の所有者や、チャレンジ精神を持つ人を地域に誘致する際などに有効です。
最近では物件所有者から「情報公開はしたくないが良い人がいたら貸したい」「文化的な使い方をしてほしい」「地域が活性化する人に貸したい」などの相談が増えています。
※HP:https://sakasama-fudosan.com/
山口県長門市で支局がスタ―ト。観光地・長門温泉に開局
長門湯本温泉は山口県でもっとも古い歴史をもつ温泉地。旅行スタイルの変化などを受け、昭和50年代をピークに宿泊者・温泉利用者は減少傾向となりました。大型ホテルの廃業を機に地域の危機感は高まり、現在は長門市が中心となり復興計画を策定し実施。街を流れる音信川(おとずれがわ)を中心に、外湯の再興や新規創業者の誘致、また地域でおもてなしやイベントなどを行うなど、官民連携した魅力的な温泉街づくりが進んでいます。観光地という特性や地域の特徴として、地元外から来る人にも好意的で挑戦者を歓迎する気風があります。
顔の見える関係を創り、貸す側の安心感を生みだす
今回、支局を立ち上げるのは合同会社長門家守。メンバーは旅館のオーナーやコンサルタント、元行政担当などで構成され、代表の大谷氏は外湯の恩湯(おんとう)復興の中心メンバーとして尽力するなど、それぞれの立場からまちづくりを担っています。温泉街の賑わい創出に向けて空き物件の活用を目指す一方、「顔の見えない相手」に大切な不動産を提供し地域に迎え入れることは、所有者と地域双方にとって大きなハードルです。
そこで打開策のひとつとして、「人」を通じて空き家問題にアプローチする「さかさま不動産」を導入。借主の人柄ややりたいことを家主に丁寧に伝えることで、非流通空き家の持ち主に「この人なら貸したい」と思ってもらう流れを創ることとなりました。
チャレンジ精神を持つ人の想いを可視化し、地域との関係構築を丁寧に図ることで、街の発展を加速させることを目指します。
開局イベント
行政関係者、町内会長、長門温泉や隣町の事業者など地域に関わる方々約30名が参加。挑戦者の「やりたい想い」発表では、「長門湯本のフードロスを解決する食品加工場を作りたい」「締めにサクッと飲めるフォー(麺)スタンドを作りたい」など、さまざまな想いが飛び交いました。
観光地として期待感の高いエリアであるものの現状ですぐに使える空き家がなく、長門市支局としてはさかさま不動産の導入により、空き家になる前に気軽に相談してもらえる状況を作り、いざ空き家になったときにすぐに対応できる状況を目指します。
日時:2024年6月7日(金)|18:00~21:30|場所:長門湯本温泉 恩湯(おんとう)
内容:①On-Coによるゲストトーク ②支局開局の背景 ③やりたい想いプレゼン ④交流会|主催:長門市支局
今後の展開
持続可能なまちづくりにおいて大切なのは、ただ空き家をうめるのではなく新たな仕事と文化を生む、より良いマッチング。今後も地域を支える方々との連携を図り、物件を探す方法が従来の「家ベースの不動産屋」に加えて、「人ベースのさかさま不動産」が選択肢になる社会を目指します。
【参考】さかさま不動産について
借り手の人物像を開示にすることで、非流通の空き家の発掘や空き家を介した関係構築を目論む実証実験として2020年にスタートしました。
空き家発生の抑制と活用促進に向け、空き家の所有者と活用希望者を仲介する新たなスキームが求められる中、国土交通省「まちづくりアワード2022」にて”潜在する空き家の流通に繋がる画期的な発想”として特別賞を獲得。自治体やまちづくり団体から相談も増えており、①移住や空き家活用相談は増えている ②借りられる空き家がない ③空き家課題は深刻 ④地域にとって良い移住者を選ぶ必要がある という共通課題が視えてきています。2022年からはさかさま不動産支局の展開を始め、空き家を介した関係性づくりを、風土や課題を理解した人たちが地域密着でフォローする仕組みを拡げています。
長門市支局について
山口県最古の温泉である長門湯本温泉。来客減少を背景に2016年に長門市が策定した「長門湯本温泉観光まちづくり計画」に基づき、市や星野リゾートなどの外部資本、地元住民及び事業者が一体となった観光まちづくりを進めている。
運営:長門家守合同会社
代表:大谷和弘
メール:info.nagatoyamori@gmail.com
担当:有賀
長門家守合同会社について
代表:大谷和弘|長門湯本温泉SNS:https://www.instagram.com/yumoto.mirai/
山口県で最も古い600年の歴史を持つ長門湯本温泉の温泉街再生に向け、温泉街の旅館や店舗、エリアマネジメント法人がメンバーとなりまちづくりを担い、長門湯本温泉の魅力・情報発信にも力を入れる。その活動を通じて行政及び地域団体(旅館組合や商店組織など)とも密に連携を持つ。
株式会社On-Co
共同創業:水谷岳史・藤田恭兵|設立:2019年3月|本社:三重県桑名市西別所1375|拠点:名古屋市西区新道1丁目13-15昭和ビル|HP:https://on-co.jp/|
ミッションは「まだない何かに挑む」。強みは社会に必要と感じた概念を具現化させること。さかさま不動産や上回転研究所、丘漁師組合などを展開している。
本件に関するお問い合わせ
窓口:武田 mail:support@on-co.co