空き家対策・まちづくりに「さかさまAI」の実装開始!名古屋工業大学とさかさま不動産が共同研究、自治体DXのモデル構築へ〜6月・7月に自治体向け説明会を開催〜
株式会社On-Co(本社:三重県桑名市、代表:水谷岳史)が運営する「さかさま不動産」は、名古屋工業大学の白松俊教授と連携の上、自治体における空き家対策の業務効率化を図るAI対話システム「さかさまAI」を開発を進めており、その試作段階にあるプロトタイプを6月16日に公開します。
また6月より、同サービスの全国展開に向けた導入説明会を開催し、現場の人手不足やノウハウ不足といった現場課題の解決に資する自治体DXモデルとしての普及を目指します。
背景:空き家問題と自治体現場の課題
総務省によると、全国の空き家率は2023年に13.8%と過去最高を記録※1。流通に乗らない空き家が4割※2を超え、空き家は多いものの、実際に貸し出せる物件は少なく、移住希望者や起業希望者とのマッチングが進まない実態があります。※1 総務省「令和5年住宅・土地統計調査(速報集計)」※2 国土交通省「空き家政策の現状と課題及び検討の方向性」
加えて、国土交通省の調査によれば、多くの自治体が以下の課題を抱えています。
—1.人手不足(75.2%):空き家対策に十分な人員を確保できない
—2.所有者アプローチの困難(54.0%):所有者特定や周知が難しい
—3.専門職不足(47.2%):適切な相談対応やマッチングが困難
—4.知見不足(45.0%):他市のノウハウや民間手法が不足
—5.予算不足(30.7%):新規施策に予算を割けない ※自治体が抱える空き家対策の5大課題(出典:国交省関東地方整備局)
これらの課題に対応し、より持続可能な行政対応を支援するツールとして「さかさまAI」の開発を進めています。
さかさまAIの解決策:DXによる空き家対策と移住支援
「さかさまAI」は、On-Coが展開する「さかさま不動産」事業の知見をベースに開発中のAI対話システムです。目指す機能については下記の通りです。
主な特徴と利点:
・自動対応:24時間対応で、相談者の“想い”や“意図”を理解し適切に案内
・初期対応代行:自治体職員の業務を軽減し、人的リソースの補完に
・相談ログの蓄積:相談内容を記録・分析し、地域ニーズや相談傾向をデータ化
【想定利用シーン】借主:「海の見える場所でカフェを開きたい」→想いなどをAIが壁打ち・ヒアリング
これらにより、空き家問題に伴う自治体現場の業務負担が軽減される可能性を検証していきます。
名古屋工業大学との産学連携:AIで自治体DXを加速
「さかさまAI」は、名古屋工業大学 白松俊研究室との共同研究によって開発が進められています。
同研究室は、「大規模言語モデル(LLM)」を活用し、地域課題に関する議論や合意形成を支援するAI対話技術の社会実装に取り組んでいます。
本プロジェクトは、自治体業務の現場にAIを導入するフィールド実装型の産学連携事例であり、On-Coが運営する「さかさま不動産」に蓄積された相談ログや対話データを基盤に、アナログで行われてきた“想いの対話”をAIにより再現・支援することを目指しています。
こうした実データをもとに、AIが空き家活用・移住相談の初期対応を担うことで、AIの現場適応力と人間との共創を検証する社会実装型研究としても学術的な意義が高く、“現場と研究の共鳴”する形でスタートしました。
白松教授は「AIが人間のパートナーとなり、実行を伴うプロセスの中で、どこまで人間の“想い”や“意図”に沿った支援ができるのか検証する本プロジェクトは、AI技術の社会実装を進める上で非常に意義深いものです」とコメントしています。
なお、白松研究室が実際の社会サービスへの実装にまで踏み込むのは本件が初の事例となります。
自治体向け「さかさまAI」説明会 概要
つきましては、「さかさまAI」の導入をご検討いただく皆さまに向けて、本取り組みの背景や機能、自治体との連携事例をご紹介するオンライン説明会を開催いたします。
日時:第1回 6月24日(火)13:30〜15:00|第2回 7月9日(水)13:30〜15:00
形式:Zoom(要事前申込)
参加費:無料
対象:自治体職員、地域政策・空き家・移住促進担当者、自治体と連携しているまちづくり団体など
申込先:第1回 https://sakasamaai.peatix.com/|第2回 https://sakasamaai2.peatix.com/
お問い合わせ:support@on-co.co(担当:奥田)
今後のスケジュール(予定)
6月16日:借主向け「さかさまAIプロトタイプ」公開(さかさま不動産ウェブサイト上でバナー掲示)
6月24日・7月9日:自治体向けオンライン説明会開催
9月中:対話ログ記録・分析機能 実装テスト
10月中:さかさま不動産ウェブサイトをAI搭載版へリニューアル
※さかさまAIを活用した、大家向け・移住希望者向けAIも開発予定
参考:さかさま不動産とは
さかさま不動産は、「物件」ではなく「人」の“やりたいこと”を起点に空き家を活用する逆発想のマッチングサービスです。借り手の想いや目的に共感した所有者が借主を選ぶため、信頼に基づいた関係構築と地域内での持続可能な事業創出や暮らしを促進しています。
現在、全国23拠点に支局が立ち上がっており、空き家は飲食店、共創スペース、多世代交流拠点などへと再生されています。
公式サイト:https://sakasama-fudosan.com/
今後の展開
「さかさまAI」は、鹿児島県・沖永良部島知名町など、導入を検討する自治体と連携し、2025年10月の正式実装を目指して検証を進めています。
今後も全国各地のさかさま不動産支局や自治体との連携を強化し、地域活性化・移住促進・関係人口の創出といった課題解決に取り組み、持続可能な地域の未来づくりに挑戦し続けてまいります。
名古屋工業大学・白松俊研究室
主宰:白松俊 教授
発足:2015年4月
所在:名古屋市昭和区御器所町 名古屋工業大学2号館B棟2階202B
HP: https://www.srmt.nitech.ac.jp/
合意形成や議論、シビックテックといった人々の協働・共創を促進するシステムを、生成AIや知識グラフといった要素技術の応用先として研究。2024年4月に株式会社ソシアノッターを設立し、研究成果の社会実装を目指している。
株式会社On-Co
代表:水谷岳史
設立:2019年3月
本社:三重県桑名市西別所1375
拠点:名古屋市西区新道1丁目13-15昭和ビル1・2階
HP:https://on-co.jp/
ミッションは「まだない未来をつくる」。強みは社会に必要と感じた概念を具現化させること。さかさま不動産や上回転研究所、丘漁師組合などを展開している。