非流通空き家を借り手の想いで動かす 「さかさま不動産」にて30 軒目の成約 〜名古屋市でメキシカンタコス創業に間借りからの挑戦〜

貸す気も売る気もない空き家が20年で約1.9倍へ

深刻化する空き家問題。総務省によると、2018年の空き家率は過去最高となる13.6%(849万戸)で、二次的利用や賃貸・売却予定のない長期不在の住宅は41.1%(349万戸)。2030年には470万戸程に増加すると推計されています (※1※2)※1 総務省 「平成30年住宅・土地統計調査」 ※2 国交省「空き家政策の現状と課題及び検討の方向性」

さかさま不動産の狙い

さかさま不動産は、家の情報ではなく「借り手」の情報を開示して大家さんが「貸したい人」を見つけることのできるサービスです。従来の不動産流通の仕組みを逆にすることで、「貸す人は選びたい」「この人なら貸したい」「利活用方法や条件次第で貸すことも考える」「家情報を公開せず借り手を探したい」と考える非流通空き家の所有者へのアプローチや、チャレンジ精神を持つ人を地域に誘致するしたい人などに有効となります。最近では「文化的な使い方をしてほしい」「地域が活性化する人に貸したい」という物件所有者からの問合せが増えています。
※サービス開始:2020年6月|HP:https://sakasama-fudosan.com/

借主:タコスを日本で気軽に食べられるものにしたい

成約したのは、山田尚史さん(30)。8歳の時にメキシコで食べたタコスのおいしい衝撃を忘れられず、商社営業マンを退職してタコス屋起業を決意・準備中に、名古屋市主催のさかさま不動産イベントに参加。やりたい想いを発表し、サイトにも掲載しました。発表を機に、自主企画のタコスイベントも初めて有料開催し、開業イメージを膨らませて行きました。
▶さかさま不動産掲載記事 https://sakasama-fudosan.com/lessee/memorable-mexicantacos/

「数ある飲食店希望者の中から自分が選ばれるだろうか」という不安をよそに、スパイス繋がりから関心をもってくれた家主さんからコンタクトを受けて、5月30日から「MESIKKO(メシッコ)」という屋号で月に4~5日ほどタコス屋をオープンすることとなりました。
▶MESIKKO 〒466-0055 愛知県名古屋市昭和区滝子通4丁目8−6
営業日:5月30日(木)、6月1日(土)、13日(木)、15日(土)、16日(日)、27日(木)
営業時間:11:00-14:00
公式Instagram https://www.instagram.com/mesikko.taco/

 

家主:愛着ある物件だから「貸す人を選びたい」

成約物件は、名古屋市にあるピンクの漆喰が目を引く物件。家主のエットハミ・ナホさんが自らリノベーションした愛着のある物件で、「空間のイメージにあう事業・人に使ってほしい」と考えていました。ご自身も飲食事業やモロッコ・インドの料理教室を主宰しており、さかさま不動産で山田さんの記事を見て「物件内装と合いそう」と連絡。内見や打ち合わせを重ね成約に至りました。

物件を通じ「飲食事業の先輩」から応援されるマッチング

家主は当初、月極め賃貸の借主を探していましたが、山田さんと話す中で「間借り出店」を提案。山田さんに飲食の経験がなく初事業となるため、リスクなく進められるようにと提案されたものです。現在、別に間借りしている人がいるため、物件の稼働が増えることで家主側のリスクが低く、「せっかくうちの物件ではじめるなら、事業が続くように応援したい」。
一方、山田さんにとっても、運営や集客、接客など実際にやってみて次の展開を考えられると提案を歓迎。飲食業に精通している家主から物件以外にもアドバイスをもらえ、心強いと話しています。
実際に2日間営業した山田さんは、「全てが初めてでドキドキバタバタしたが、初めてお客さんが来てくれた時は本当に嬉しかった!手際、味付け、装飾など全方面で改善していきたい」とスタートを切っています。

地域と連携してフォローする仕組みへ

空き家が増え続ける一方、借りられる空き家は少ないというのが各地の共通課題。単に空き家を埋める事を目的とせず、どんな人がどう活用するのかを地域側も選ぶ必要性が出ています。
さかさま不動産では、空き家を介した丁寧な関係性づくりの重要性を感じ、2022年よりさかさま不動産支局制度を開始※。現在は愛知県西尾市など16拠点と連携し、借主貸主からの問合せ対応や地域リレーションのサポートを実施。交流人口拡大や地域活性化・産業の振興に繋がるケースが生まれつつあります。また月1回は支局同士の情報交換を行い、地域を越境した情報共有を図っています。
※さかさま不動産支局:空き家を介した関係性づくりを、風土や課題を理解した人たちが地域密着でフォローする仕組み

今後の展開

空き家を介した関係性づくりに共感が集まり、全国の自治体やまちづくり団体との連携が広がりつつあります。6月7日には山口県長門市、7月12日には岐阜県ぎふ町にてさかさま不動産支局が開局され、年内には和歌山や三重県伊勢市での開局も予定されています。
やりたい想いを伝えることで応援者に出会えるプラットフォームとなり、空き家を埋める事を目的とせず、街にとってより良いマッチングを大切にして挑戦を応援する気風づくりを目指します。

株式会社On-Coについて

共同創業:水谷岳史/藤田恭兵|設立:2019年3月|所在地:三重県桑名市西別所1375|事務所:愛知県名古屋市西区新道1丁目13-15昭和ビル(マダナサソウ)|HP:https://on-co.jp/
ミッションは関わる人々の主体性を向上させ、挑戦が溢れる面白い世の中をつくること。強みは社会に必要と感じた概念を具現化すること。さかさま不動産や丘漁師組合、上回転研究所、マダナサソウなどのPJを展開している。
本件に関するお問い合わせ  窓口:武田   mail✉:support@on-co.co

 

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