さかさま不動産で10軒目の成約~元ピザハウスで古着屋開店を目指すヴィンテージバイヤーの挑戦~
株式会社On-Co(本社:三重県桑名市、以下On-Co )が運営する、物件を借りて挑戦したいことがある人の想いを可視化して貸主を募集するウェブサイト「さかさま不動産」にて、愛知県瀬戸市で古着屋開店を目指すヴィンテージバイヤーの挑戦が成約しました。同市「せと銀座通り商店街」でのマッチングは、オーダーメイド自転車屋に続き2軒目となります。
■さかさま不動産の狙い
少子高齢化や人口減少などにより増え続けている空き家。2040年には空き家率は40%を超えると予測され深刻な社会問題となっています。
さかさま不動産は、物件情報が並ぶ従来の不動産システムとは逆で、借りたい人の情報が並ぶウェブサイト。物件オーナーは、気に入った借り手候補に対して、サイトの中で直接アプローチし、合意に至れば各自で契約をする仕組みです。他人に貸し出すか否かを決める前に、借り手の人物像を開示にすることで、流通に乗っていない空き家の発掘や、空き家を介した関係構築を狙う実証実験として2020年6月にサービスを開始させました。
発想のベースはOn-Coが、空き家は挑戦の場として地域活性に取り組んできた経験です。現在サイト上には「サウナ施設を作りたい」「作家の寮をつくりたい」などの夢や想いが綴られています。
■コロナ禍で生まれた挑戦
今回成約したのは、愛知県瀬戸市で「気軽に人が集まれる古着屋さん」開店を目指す大平直輝さん(30歳)。産業廃棄物業に就きながら、オンラインやイベントで古着の販売を行いファンを増やしていましたが、コロナ禍の影響で売上が減少。常連客との関係性を深める為にも、実店舗を持つ必要性を強く感じて出店へと動く流れとなりました。
URL:https://sakasama-fudosan.com/2021/09/11/old-fashion/
■商店街にある元ピザハウス
マッチングした物件は、瀬戸まちづくり株式会社が家主(60代)から管理を託された瀬戸市「せと銀座通り商店街」内の元ピザハウス。
瀬戸まちづくり株式会社が、補助金を活用し、市内外から熱い想いを持つ出店者を募集したところ、大平さんが採択されました。瀬戸市はここ数年新規事業者が増加傾向にあり、街としてもスタートアップを応援する気風が出来つつあります。
■空き家が埋まるだけではない。街に文化が生まれる派生
同商店街でのさかさま不動産マッチングは、「ライダーズカフェ瀬戸店」のダビッドさんに続き2軒目。ダビッドさんは昨年名古屋から瀬戸に家族で移住もしています。
更にダビッドさんの影響により、都市部で活動していたコーヒー店「リトルフラワー」さんが瀬戸の実店舗を。大平さんにおいても、当初岐阜エリアを検討していましたが、ダビッドさんとリトルフラワーさんとの出会いにより瀬戸での出店を決断。3者共に当初瀬戸は想定外エリアでした。
大平さんは「瀬戸で活躍する人たちを見て、自分も瀬戸で挑戦するという気持ちが固まりました。また応援してくれる街の風土を感じたのもよかったです」と話しています。
(2022年2月までに改修工事、4・5月に古着屋OPEN予定)
■空き家の有効活用が地域活性へ
これまで本サービスを通して夢が実現したのは、書店(愛知県名古屋市)、海洋プラを活用したアート製作場(三重県鳥羽市)開業など計10軒の挑戦です。
さかさま不動産は人のモチベーションに反応する仕組み。借り手が事前に自己開示することにより、物件オーナーだけでなく地域の人たちが、空き家という資源を活用して応援する流れなど。更に借り手はサステナブル志向が高く、街の余白を埋めるだけでなく、地域の活性化に一役買うという副次効果も生まれています。
■金銭以外の価値が空き家を流通させる
物件の住所や家賃、残置物などの情報を、不特定多数に晒すことなく借り手を探すことが出来るさかさま不動産。最近では「誰にでも貸したいと思っているわけではない」という想いを持つ物件オーナーからの問合せが増えています。また貸すつもりはなかった物件オーナーも、借り手の魅力を訴求する”さかさま”の仕組みが刺激となり、借り手の事業を応援することで、自分の人生を充実させようとする事例も出てきました。
今後も生まれたての挑戦を可視化し、空き家問題の解決にむけて新たな価値を創造できるよう努めて参ります。
■株式会社On-Coとは
代表:水谷岳史/藤田恭兵 創業:2019年3月 所在地:三重県桑名市西別所1375
ミッションは、関わる人々の主体性を上げて挑戦が溢れる面白い世の中をつくること。「さかさま不動産」 や海の課題を知り活動する人を増やす【丘から海を考える「丘漁師組合」などを展開している。