非流通空き家を借り手の想いで動かす 「さかさま不動産」にて22軒目の成約 〜保育士による”老若男女が集まれる拠点”への挑戦〜

株式会社On-Co(本社:三重県桑名市、以下On-Co)が運営する、物件を借りて挑戦したいことがある人の想いを可視化して貸主を募集するサービス「さかさま不動産」にて、子育てコミュニティを運営する保育士による「老若男女が集まれる拠点」への挑戦が、愛知県名古屋市南区の物件とマッチングしました。
今回さかさま不動産を通じて、地域内の家主と借主が出会うケースとなりました。

 

貸す気も売る気もない空き家が20年で約1.9倍へ

深刻化する空き家問題。総務省によると、2018年の空き家率は過去最高となる13.6%(849万戸)で、二次的利用や賃貸・売却予定のない長期不在の住宅は41.1%(349万戸)。2030年には470万戸程に増加すると推計されています (※1※2)。
また国土交通省「空き地等に関する所有者アンケート」によると、売却・賃貸等のために情報を広く一般に提供してもよい所有者は15.6%のみ、情報公開はしたくないものの、まちづくりのための利活用であれば検討するという所有者は70%以上というデータが出ています(※3)。

※1 総務省 「平成30年住宅・土地統計調査」 ※2 国交省「空き家政策の現状と課題及び検討の方向性」※ 国交省 空き家政策の現状と課題及び検討の方向性   

 

さかさま不動産の狙い

さかさま不動産は、家の情報ではなく「借り手」の情報を開示してマッチングをするサイトです。
従来の不動産流通の仕組みを逆にすることで、「貸す人や使途は選びたい」「物件情報を公開せず借り手を探したい」と考える非流通空き家の所有者や、チャレンジ精神を持つ人を地域に誘致する際などに有効です。
最近では物件所有者から「文化的な使い方をしてほしい」「地域が活性化する人に貸したい」などの相談が増えています。※HP:https://sakasama-fudosan.com/

 

借主:原体験は子育ての孤独。老若男女が集える場へ

今回成約したのは、3人の子育て中かつ、子育てコミュニティを運営する保育士 大矢 康子さん(41歳・名古屋市南区在住)。移住直後(大阪→名古屋)に子育てを始め、孤独だった原体験から、自身の音楽活動の再開を機に、2020年より子育てコミュニティを運営。
2021年には地域内の珈琲店を間借りし、図書室・駄菓子屋・不登校児童の居場所づくりなど関係性を拡張させた流れで、地域内で”老若男女が気軽に集える拠点”となる物件を探していました。

 

物件:風呂なしの築67年長屋物件

マッチングしたのは、名古屋市南区呼続にある築67年の長屋物件。所有者(47歳)の祖母が建てた物件で、風呂は無く、近所の銭湯が閉業したのもあり、2年以上空き家状態。解体も考えるなか、さかさま不動産にて、同町内の物件を探す大矢氏の記事を発見し、コンタクトを取りました。

 

家主:心動かされた「こどもが遊ぶ光景」

所有者は、大矢氏が内覧時に連れた小中学生が敷地内で遊ぶ光景を見て、自身の幼少期の記憶がフラッシュバック。「こういう使い方をしてほしい。この人に貸したい」と深く感動。所有者自身にも4歳の子どもがおり、以前から生まれ育った町内のこどもが減り、近所付き合いが希薄化していることに寂しさを感じていたのもあって、大矢氏の活動と想いに賛同。マッチングに至りました。所有者は「将来を考えた時、お金だけでは計れない価値があると感じた。子育て世代として自分の家族もその場に緩く関われることを想像したらワクワクする」と話します。

徒歩圏内にいた借主・家主。共鳴がまちづくりプロジェクトに

実は徒歩圏内にいた借主と家主。さかさま不動産を通して出会ったことで、エリア活性化へと話が発展しました。
大矢氏が借りる物件は長屋の一角。連なる部屋は想定以上に広いため、大矢氏は現間借り先の珈琲店と家主でチームを組み、町に賑わいを創る人を誘致する流れを試すこととなりました。まずは10月22日(日)に「ヨビツギナガヤプロジェクト(仮)」として長屋に集まり、ゆるやかなイベントを行う予定となっています。

 

地域と連携してフォローする仕組みへ

空き家が増え続ける一方、借りられる空き家は少ないというのが各地の共通課題。単に空き家を埋める事を目的とせず、どんな人がどう活用するのかを地域側も選ぶ必要性が出ています。
さかさま不動産では、空き家を介した丁寧な関係性づくりの重要性を感じ、2022年よりさかさま不動産支局制度を開始※。現在は岐阜県や長野県など11拠点と連携し、借主貸主からの問合せ対応や地域リレーションのサポートを実施。交流人口拡大や地域活性化・産業の振興に繋がるケースが生まれつつあります。

今後の展開

空き家を介した関係性づくりに共感が集まり、全国の自治体やまちづくり団体との連携が広がりつつあります。11月5日には京都府伊根町、11月26日には名古屋市港区、12月8日には静岡県沼津市にてさかさま不動産支局が開局予定です。
また自治体との実証実験として、三重県明和町・桑名市、高知県、奈良県にてさかさま不動産を活用して非流通物件を掘り起こすイベントが進んでいます。
今後も借主と貸主の新たな関係性構築をサポートし、物件を探す際に従来の「家ベースの不動産屋」に加えて、「人ベースのさかさま不動産」が選択肢になる社会を目指します。

 

株式会社On-Coについて

共同創業:水谷岳史・藤田恭兵|設立:2019年3月|所在地:三重県桑名市西別所1375|拠点:愛知県名古屋市西区新道1丁目13-15昭和ビル(マダナサソウ)|HP:https://on-co.jp/
ミッションは関わる人々の主体性を向上させ、挑戦が溢れる面白い世の中をつくること。強みは社会に必要と感じた概念を具現化すること。さかさま不動産や丘漁師組合、上回転研究所、マダナサソウなどのPJを展開している。

 

 

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